經由 パリ古物雑記帳 Rudi_ K 著 (日期為 2008/7/20)
一本の幹から彫り出して造られている写真のアイテムは、その昔カーテンレールの両脇に付けられていた物であります。二つの対だった片われではありますが、何処かのお館の高く広い窓に裏打ちのしっかりとしたカーテンとともに取り付けられていた物でありましょう。バロック的な装飾の彫りとともにドッシリと重量感があり、長さ:21cm、直径:11cmというサイズからも、今では立派なオブジェとして楽しめるひとつの木片であります。
17世紀に入り、優れた織物がフランドルで造られイタリアやフランスで好まれたと同時に、窓にカーテンを付ける習慣がフランスで流行り、18世紀末までに多くの美しい布地がカーテンとして宮廷やお館の室内を飾ったのであります。19世紀に入り産業革命以後の量産された布地が主流になったとはいえ、それでもフランスには華麗な柄のカーテン布地が多く残されることになります。石造りの壁を絵画で埋めたイタリアに比べ、織物や布地で装飾したフランスの隠れた伝統とも言えましょうか。